【デザイン秘話を深掘り】金谷裕子さんに聞く10のこと【後編】
あざやかな色彩で幾何学的、有機的なパターンを描くアーティスト「金谷裕子に聞く10のこと」後編。ここでは、デザイン秘話についてさらに深掘りしていきます。こだわりポイント、デザインに込めた想いについて伺いました。
金谷さんのアートワークやコラボウォッチへの想いについては前編でご紹介!
「はじめての時計デザイン金谷裕子に聞く10のこと」前編をみる
【後編】コラボウォッチのデザイン秘話について深掘り
アーティスト 金谷裕子さん
Q6.今回のコラボウォッチはどのようなプロセスで制作を進められましたか?
最初はラフスケッチでいくつもアイディアを描き出し、ある程度方向性を決めてから盤面のアートワークを描いていきました。着彩は色鉛筆を使っています。それに合わせて針などの小さいパーツやベルトなどの色を決めました。それをもとに工場でサンプルを作ってもらうのですが、はじめは仕上がりを見てしっくりこなかったので、一から盤面を描き直したりしながら調整を行なって進めました。
Q7. 苦労したポイントはありますか?
私の絵は細かく描き込む表現が多いのですが、腕時計の小さな盤面でそれをするとあまり美しくならなくて。かといってシンプルに描きすぎると私の絵でなくなるので、良いバランスを見出すまでは「これで本当にいいの?」と仕上がり後に迷いが出てくることも。幸い、盤面のサイズが小さいこともあって「もう一点描いてみよう」と何度か調整することができ、程良いバランスで仕上げられたと思います。
Q8. 今回だからこそチャレンジしたことはありますか?
普段は自分の作品にメッセージを加えることはあまりしないのですが、今回は「時間」に対する自分なりの解釈を取り入れています。
アナログ時計で時刻と連動したデザインでは、左右上下が対称になっているものや、特定の時刻にポイントが置かれたものが多いですが、今回はそのリズムを少しずらしてアシンメトリーに描いたり、時刻のポイントの置き方を不規則にしたりしています。
0時ちょうども4時23分も、自分にとってはいつもそのときが「今」だから、自分なりに時間を捉えたいと思うのです。それで、時刻を知る機能を損なわない範囲で、時計の規則性に縛られない自由さのあるデザインを目指しました。
Q9. 金谷さんにとって腕時計はどんな存在で、どんな風に楽しまれていますか?
腕時計は、スマートフォンで時間を見ていることと、バングルやブレスレットが好きなこともあって、私自身は日常的にはあまり着けませんが、ピクニックや旅行など、手ぶらで過ごしたいときやスマートフォンから離れたいときに、時間がわかる装飾品という感覚で着けています。
世代もあるのでしょうが私にとってはちょっと懐かしい存在でもあります。スマートフォンやPCでできることを、あえてカメラやレコードプレイヤーなどを使うことに似た、楽しい違和感があります。
Q10. 最後の質問。実際に完成を見た時どう感じましたか?また最後に、お客さまへメッセージをお願いします。
原画と実際時計になった状態とでは印象が変わるので、出来上がりを見るまで心配でしたが、まずは無事完成してほっとしています。完成後、実際にこの時計を着けて一日過ごしてみたのですが、華やかな色彩が視界に入ると気分が上がります。これからこの時計を手に取ってくださる方にも同じように良い気配を感じてもらえたらと思っています。そして、時間の捉え方や過ごし方は人それぞれですが、そんな「それぞれ」であることに寄り添えたり、後押しをするアイテムになったらとても嬉しいです。
おわりに
金谷さんに聞く10のこと。いかがでしたか?金谷裕子さんデザインのコラボウォッチ「着けているだけで心が躍る時計」をぜひゲットしてくださいね。